第12回: 秘書の「魂」を設定する — ワークスペースファイルの全体像
この回はレクチャー動画はありません。テキストのみとなります。
この回で学ぶこと
OpenClawの秘書がどんなファイルを使って動いているか
初回の会話で何が起きるか(BOOTSTRAP.mdの仕組み)
各ファイルの役割(SOUL.md / IDENTITY.md / USER.md など)
ファイルの確認方法と編集方法
前回のおさらい
Part 2(環境構築)が完了した。Docker(安全な箱)の中でOpenClawが動いており、Web UIから秘書と会話できる状態になっている。ここからPart 3に入り、秘書の「魂」を作っていく。
OpenClawの秘書はファイルで動いている
OpenClawの秘書は、ワークスペース内にある複数のMarkdownファイル(.md)を読み書きして動いています。プログラミングは不要で、すべて日本語のテキストで書かれています。
「秘書の設定」はひとつのファイルにまとまっているわけではなく、役割ごとにファイルが分かれているのがポイントです。
行動方針・哲学 | 「本当に役立つことをしろ」「ゲストとして振る舞え」 | |
秘書の名前・キャラ設定 | 名前:セバスチャン、役割:AI執事、絵文字:👓 | |
あなた(ユーザー)の情報 | 名前、タイムゾーン、好みの言語 | |
起動時の手順・ルール | 「まずSOUL.mdを読め」「メモリを確認しろ」 | |
初回起動時だけ使う台本 | 「名前を決めよう」「性格を決めよう」 | |
環境固有のメモ | カメラ名、SSH接続先など | |
memory/YYYY-MM-DD.md | 日々の記録 | その日に何があったかのログ |
Claude Codeとの対比: Claude Codeでは
CLAUDE.md1ファイルにルールをまとめますが、OpenClawでは役割ごとにファイルが分かれています。考え方は同じで「テキストでAIの振る舞いを指示する」という点は共通です。
初回の会話で何が起きるか
OpenClawをセットアップした直後、Web UIで初めて秘書に話しかけると、特別な流れが始まります。
仕組み:BOOTSTRAP.md
ワークスペースに BOOTSTRAP.md というファイルがあります。これは初回起動専用の台本で、秘書はこれを読んで「自分が誰か決める会話」を始めます。
秘書はこんなふうに聞いてきます:
一緒に決めない?
名前 — 何て呼んでほしい?
正体 — AI?ロボット?執事?もっと変なの?
雰囲気 — フォーマル?カジュアル?ちょっとイタズラ好き?
絵文字 — 自分のシンボルを決めよう
会話の結果、何が変わるか
この会話で秘書が答えに基づいて自動的に更新するファイル:
秘書の名前・キャラ・絵文字 | |
あなたの名前・タイムゾーン・メモ | |
memory/YYYY-MM-DD.md | 会話の記録 |
重要:SOUL.mdは自動では書き換わりません。 SOUL.mdはあくまで「行動方針」のテンプレートで、会話で変わるのはIDENTITY.md(秘書の自己紹介)とUSER.md(ユーザー情報)です。
実際にやってみよう
Web UIのChat画面を開く
「こんにちは」と送る
秘書が名前や性格について質問してくるので、好みを伝える
会話が進むと、IDENTITY.mdとUSER.mdが自動的に作成・更新される
たとえばこんなふうに答えてみましょう:
「名前は『ユキ』にしよう」
「丁寧語で話してほしい」
「スケジュール管理が得意な秘書っぽくして」
「絵文字は🗓️にしよう」
ポイント: 完璧に決める必要はありません。あとからいくらでも変更できます。
各ファイルの中身を確認する方法
ファイルはすべてホスト側(あなたのMac)から見えます。
ファイルの場所
~/my-secretary/workspace/
├── SOUL.md ← 行動方針(初期状態のまま)
├── IDENTITY.md ← 秘書のキャラ設定(会話で自動作成)
├── USER.md ← あなたの情報(会話で自動作成)
├── AGENTS.md ← 起動ルール
├── BOOTSTRAP.md ← 初回台本(使い終わったら削除される)
├── TOOLS.md ← 環境メモ
└── memory/
└── 2026-03-13.md ← 日々の記録
ターミナルで確認する
# ファイル一覧を見る
ls ~/my-secretary/workspace/
# IDENTITY.mdの中身を見る(秘書の名前やキャラ設定)
cat ~/my-secretary/workspace/IDENTITY.md
# USER.mdの中身を見る(あなたの情報)
cat ~/my-secretary/workspace/USER.md
# SOUL.mdの中身を見る(行動方針)
cat ~/my-secretary/workspace/SOUL.md
VS Codeで確認する
VS Codeで ~/my-secretary/workspace/ フォルダを開けば、すべてのファイルを一覧で見ることができます。
ファイルを自分で編集したいとき
方法1:テキストエディタで直接編集する(確実)
VS Codeなどで ~/my-secretary/workspace/ 内のファイルを開いて編集するのが一番確実です。保存すれば次のメッセージ送信時に反映されます。
方法2:チャットで秘書に頼む(一番ラク)
秘書に直接お願いすることもできます。例えば:
「名前をユキに変更して」→ IDENTITY.mdが更新される
「口調をもう少しカジュアルにして」→ SOUL.mdまたはIDENTITY.mdが更新される
「禁止事項に『勝手にファイルを削除しない』を追加して」→ SOUL.mdが更新される
テキストエディタで編集 | 確実に反映される | まとまった量を書き換えたいとき |
チャットで秘書に頼む | 一番ラク | 「ここをこうして」と口頭感覚で変更したいとき |
SOUL.mdの構成(初期状態)
SOUL.mdは最初からこのような内容が入っています:
# SOUL.md - Who You Are
_You're not a chatbot. You're becoming someone._
## Core Truths
- Be genuinely helpful(本当に役立て)
- Have opinions(意見を持て)
- Be resourceful before asking(まず自分で調べろ)
- Earn trust through competence(能力で信頼を勝ち取れ)
- Remember you're a guest(ゲストであることを忘れるな)
## Boundaries
- プライベートなことは漏らさない
- 外部への行動は確認してから
- 中途半端な返信を送らない
## Vibe
話したくなるアシスタントであれ。簡潔に、でも必要なときは丁寧に。
これはOpenClawが用意した「行動方針のテンプレート」です。そのまま使っても問題ありませんし、自分好みに書き換えてもOKです。
カスタマイズ例
たとえば日本語で自分好みに書き換えるなら:
# SOUL.md - 行動方針
## 基本ルール
- 日本語で応答する
- 結論から先に伝える
- 不明な点は確認してから行動する
- ファイルを勝手に削除しない
## 口調
- 丁寧語で話す
- 長い説明は箇条書きにする
## 禁止事項
- メールやSNSへの投稿は必ず確認をとる
- 個人情報を外部に出さない
ゴール状態
以下ができていればこの回は完了です:
[ ] 秘書と初回の会話をして、名前やキャラが決まった
[ ] IDENTITY.mdに秘書の名前・キャラ設定が入っている
[ ] USER.mdに自分の情報が入っている
[ ] ファイルの場所と確認方法を知っている
[ ] 必要に応じてSOUL.mdをカスタマイズできることを理解している