サブエージェント第3回:スキル図と設定共有の仕組み
学習ポイント
- AIに独自の挙動や口癖を反映させる「書き味(ライティングスタイル)」の設定方法
- .cursor フォルダ内におけるカスタムフォルダ(ノートシステム等)の活用と参照パスの概念
- スキル図(Skills)から外部のMDファイル(テンプレートやレシピ)を読み込む実戦的な構成
第3回・第4回: Skills × サブエージェントで「note記事執筆システム」を作る
この回で作るもの
Skills と サブエージェントを組み合わせて、/note-write "トピック" と打つだけで自分の書き味でnote記事が出てくるシステムを作ります。
第3回で Skills(メニュー表) を、第4回で サブエージェント(シェフ) を作り、最終的にはただ「記事書いて」と言うだけで書き味が自動適用される状態を目指します。
全体設計: Skills × サブエージェントの役割分担
3つの要素
Skills(スラッシュコマンド)= ユーザーが呼ぶ「入口」
→ /note-outline, /note-write, /note-review
サブエージェント = Claudeが使う「専門エンジン」
→ note-writer(書き味を知っている)
参照ファイル = 共有知識
→ writing-style.md, article-templates.md
アーキテクチャ図
ユーザー
│
├── /note-outline "Claude Code tips"
│ │
│ ├─ 参照: article-templates.md(構成テンプレ)
│ └─ 出力: 記事の骨格(見出し+各セクションの要点)
│
├── /note-write "Claude Code tips"
│ │
│ ├─ 参照: article-templates.md(構成テンプレ)
│ ├─ 参照: writing-style.md(書き味ルール)
│ └─ 出力: 完成記事
│
└── /note-review
│
├─ 参照: writing-style.md(チェック基準)
└─ 出力: フィードバック+改善案
※ 普通に「記事書いて」と言っても
note-writer サブエージェントが自動で起動する
なぜこの分け方?
起動方法 | ユーザーが | Claudeが自動判断 |
得意なこと | ワークフロー、引数、参照ファイル連携 | 専門知識、自律作業 |
使い分け | 「この手順でやって」 | 「この分野は任せて」 |
結論: Skillsは「ワークフローの指揮官」、サブエージェントは「書く専門家」。
レストランでいうと、Skillsはメニュー表(お客さんが選んで注文する)、サブエージェントはシェフ(料理の専門知識を持ってる)。
作成するファイル一覧
~/.claude/
├── commands/ ← Skills(第3回)
│ ├── note-outline.md ← /note-outline コマンド
│ ├── note-write.md ← /note-write コマンド
│ └── note-review.md ← /note-review コマンド
│
├── agents/ ← サブエージェント(第4回)
│ └── note-writer.md ← 書き味を知ったエージェント
│
└── note-system/ ← 共有参照ファイル(第3回)
├── writing-style.md ← 書き味ルール
└── article-templates.md ← 記事構成テンプレート
第3回: Skillsで記事執筆ワークフローを作る
ゴール: 3つのSkillと2つの参照ファイルを作って、 /note-write "トピック" で自分の書き味の記事が出る状態にする
1. Skills vs サブエージェントの違い
Skills(スラッシュコマンド)
→ 自分で呼ぶもの
→ 「/note-write トピック」みたいに明示的に使う
→ ワークフローを定義するのが得意
→ 参照ファイルを読み込める
サブエージェント
→ Claudeが自動で判断して使うもの
→ 「記事書いて」と言うだけで勝手に起動する
→ 専門知識を持たせるのが得意
→ モデルの選択ができる(haiku/sonnet/opus)
2. 共有ファイルを作る
Skills とサブエージェントが共通で参照するファイルを先に作ります。 これが両者の「共通の知識ベース」になります。
参照ファイル①: writing-style.md(書き味ルール)
ファイルパス: ~/.claude/note-system/writing-style.md
# 書き味ルール
## トーン
- 丁寧語ベースだけどカジュアル寄り
- 「教えてあげる」じゃなく「一緒にやろう」の感覚
- 素の言葉が出てもいい(「まぁ〜かなと。」)
- 時々YouTube的な軽さが出る感じ
## 文の形
- 1文は30〜50字目安
- 2-3行ごとに空行(スマホ前提)
- 長い説明は番号付きリストか箇条書きに
- 「!」はテンション上げるところで使う
## よく使うフレーズ(自然に使う。全部入れない)
### 冒頭
- 「〜が〇〇!でも△△が無い!ということで〜」
- 「〜?なんだそれ?」(読者の声を代弁)
- 「〜って思う方もいらっしゃると思います。」
### 評価
- 「まぁ〜かなと。」
- 「正直〜」
- 「〜でしたね 🤔」
### 安心
- 「手順通りに進めれば誰でも〜」
- 「わからない箇所はChatGPTなどで補完しながら〜」
### 進行
- 「ということで〜」
- 「これで〜は完了です。」
### 締め
- 「ぜひ、ご自身でも試してみてください!」
- 「ぐっと楽になります。」
## 使ってはいけないフレーズ
- ❌ 「いかがでしたでしょうか?」
- ❌ 「本記事では〜について解説します」
- ❌ 「〜することが重要です」
- ❌ 「さまざまな」「多様な」「多岐にわたる」
- ❌ 「〜でございます」
- ❌ 「〜であると言えるでしょう」
- ❌ 同じ語尾が3回以上連続
## 参考(こういう冒頭を目指す)
### ハウツー型
> Shopifyの管理画面で「商品タイトル」や「商品説明」の
> 入力欄が狭い!でも幅を広げる設定が無い!
> ということで、ブックマークレットを作成しました!
>
> 「ブックマークレット?なんだそれ?」
> と思う方もいらっしゃると思います。
### レビュー型
> Googleが新たに発表した「Opal」は、
> ワークフローを構築してAIアプリを作成するためのツール。
> DifyやN8Nと比較しながら、機能と特徴を解説しました〜。
> とはいえ初のYoutube投稿なので、
> いろいろヘタクソですがお容赦ください笑
### こうならないで
> 本記事では、Claude Code の概要と主要機能について
> 解説いたします。Claude Code は Anthropic 社が開発した
> CLI ツールであり、多岐にわたる機能を提供しています。
ポイント: このファイルを独立させておくのがミソ。Skills からも、サブエージェントからも、同じファイルを参照する。書き味を修正したくなったらここだけ直せば全部に反映される。
参照ファイル②: article-templates.md(記事構成テンプレート)
ファイルパス: ~/.claude/note-system/article-templates.md
# 記事構成テンプレート
## A: ハウツー型
### 1. 冒頭(問題+解決の提示)
- 読者の「困った!」を代弁する
- 最初の3行で何が解決するか伝える
- 「本記事では〜」で始めない
### 2. 安心材料
- 「手順通りに進めれば誰でもできます」
- 読者が「自分にもできそう」と思えるように
### 3. 必要なもの(箇条書き2-3行)
### 4. 手順(章立て+番号)
- 第1章〜第N章で大きく分ける
- 1ステップ1アクション
- つまずきポイントにはフォロー
### 5. 動作確認
- 「これで完了です!」と区切る
### 6. まとめ
- 「ぜひ試してみてください!」
- 応用例を軽く触れる
---
## B: レビュー型
### 1. 冒頭(ツール名+一言評価)
- 結論先出し
- 体験ベースで入る
### 2. 正直な評価
- 良い点も悪い点もストレートに
### 3. 機能紹介(比較ベース)
- 既存ツールとの違いを軸に
### 4. 今後の期待
- 「今は〜だけど、将来は〜」
### 5. まとめ
---
## C: ストーリー型(体験談)
### 1. フック
- 衝撃の事実 or 意外な結論
### 2. 背景
- 「実は自分も〜だった」
### 3. 転機
- 「でも〇〇がきっかけで」
### 4. 変化
- 具体的な数字やビフォーアフター
### 5. 教訓
- 読者への問いかけ
---
## 共通ルール
- 冒頭3行が勝負(noteのTLで冒頭だけ見える)
- 完成形を先に見せる(Before/After画像があると最強)
- スマホファースト(改行多め、1文短く)
ポイント: 構成テンプレートも独立ファイル。ハウツー・レビュー・ストーリーの3パターンを用意しておけば、どんな記事でも対応できる。
3. Skill ①: /note-outline
いきなり全文書かせると外すことがある。まず骨格だけ確認して、OKなら肉付けする。この「2段階」がコスパ最強のワークフロー。
ファイルパス: ~/.claude/commands/note-outline.md
---
description: note記事のアウトライン(見出し構成)を作成する。
「note記事のアウトライン」「記事の構成案」「骨格作って」
などで使う。
---
以下の手順でnote記事のアウトラインを作成してください。
## 手順
1. まず `~/.claude/note-system/article-templates.md` を読んで
記事構成テンプレートを把握する
2. ユーザーの指示から以下を判断する:
- トピック: $ARGUMENTS から取得
- 記事タイプ: ハウツー / レビュー / ストーリー
(判断できない場合はユーザーに聞く)
- ターゲット読者
3. テンプレートに沿って**見出し構成のみ**を出力する:
- 各見出し
- 各セクションで書く内容の1行メモ
- 想定文字数
4. 最後にユーザーに確認:
「この構成でOKですか?修正したい箇所があれば教えてください。
OKなら /note-write で本文を生成できます。」
## 注意
- 本文は書かない。見出しと要点メモだけ。
- 速度重視。サクッと出す。
ポイント: $ARGUMENTS がキーワード。/note-outline の後に書いたテキストが $ARGUMENTS に入る。参照ファイルのパスを指定しておくだけで、Skill は手順書として機能する。
4. Skill ②: /note-write
本命のSkill。記事全文を生成する。
ファイルパス: ~/.claude/commands/note-write.md
---
description: note記事の本文を生成する。
「note記事を書いて」「ブログ記事作成」「記事の下書き」
などで使う。
---
以下の手順でnote記事を作成してください。
## 手順
1. 以下の参照ファイルを両方読む:
- `~/.claude/note-system/article-templates.md`(構成テンプレ)
- `~/.claude/note-system/writing-style.md`(書き味ルール)
2. ユーザーの指示を分析:
- トピック: $ARGUMENTS から取得
- 記事タイプ: 指示から判断(不明なら聞く)
- ターゲット読者: 指示から判断(不明なら聞く)
3. 記事構成テンプレートに沿って構成を決める
4. 書き味ルールに厳密に従って本文を書く:
- トーン、文の長さ、改行ルールを守る
- よく使うフレーズを自然に織り交ぜる
- 禁止フレーズは絶対に使わない
- 参考例のような冒頭を目指す
5. 完成した記事を出力
6. 最後に:
「この下書きをベースに修正したい箇所があれば教えてください。
/note-review で書き味チェックもできます。」
## 出力形式
- Markdown形式
- note に貼り付けられるように見出しは ## と ### を使う
ポイント: 「参照ファイルを読め」と指示するのがSkillの真骨頂。writing-style.md を読ませることで書き味ルールが全部適用される。Skill の中にルールを直接書いてもいいけど、参照ファイルに分けておくと管理が楽。ルール修正したいときに1ファイル直すだけで済む。
5. Skill ③: /note-review
書いた記事を書き味ルールでチェックするスキル。
ファイルパス: ~/.claude/commands/note-review.md
---
description: note記事の下書きを書き味ルールに沿ってレビューする。
「記事をチェックして」「レビューして」「書き味チェック」
などで使う。
---
以下の手順で記事をレビューしてください。
## 手順
1. `~/.claude/note-system/writing-style.md` を読む
2. 直前の会話にある記事(または $ARGUMENTS で指定されたファイル)を
書き味ルールに照らしてチェックする
3. 以下の観点でフィードバック:
### チェック項目
- [ ] 冒頭3行で引きがあるか
- [ ] 禁止フレーズを使っていないか
- [ ] 同じ語尾が3回以上連続していないか
- [ ] 1文が50字を超えていないか
- [ ] 空行の入れ方(2-3行ごと)
- [ ] 「よく使うフレーズ」が自然に入っているか
- [ ] トーンが「カジュアル丁寧語」になっているか
- [ ] 記事構成がテンプレートに沿っているか
4. チェック結果をまとめる:
- ✅ 良い点(具体的に)
- ⚠️ 改善点(具体的な修正案つき)
- 修正版の提案(改善点を反映した部分だけ)
ポイント: /note-review は同じ writing-style.md を参照してチェックする。書くときも、チェックするときも、同じルールを見ている。だからブレない。
6. 第3回まとめ
📄 参照ファイル(共有知識)
├── writing-style.md ← 書き味ルール
└── article-templates.md ← 3つの構成テンプレ
⚡ Skills(メニュー表)
├── /note-outline ← 骨格だけ出す(確認用)
├── /note-write ← 本文を生成(メイン)
└── /note-review ← 書き味チェック
実用的な使い方:
/note-outline → 構成を確認 → /note-write → /note-review → 修正
この段階でも十分使えますが、1つ課題があります。/note-write と明示的に打たないと動かないこと。次の第4回では、ただ「記事書いて」と言うだけでClaude が勝手に書き味ルールを適用してくれるサブエージェントを作ります。