第37回: Claude CodeとOpenClawの連携 — 開発と運用の分業
この回で学ぶこと
Claude CodeとOpenClawの本質的な違い
開発→運用の引き渡しフロー
2つのツールを使い分ける実践的な方法
実際にClaude Codeでスキルを作り、OpenClawで動かす
前回のおさらい
cronとスキルを組み合わせた「自動パイプライン」を構築した。コンテンツ制作を例に、ネタ収集から下書き作成、通知まで自動で流れる仕組みを作った。今回は、Claude CodeとOpenClawの2つのツールを連携させる方法を学ぶ。
Claude CodeとOpenClawの本質的な違い
第3回で「大工さんと家政婦さん」という例えを使ったが、ここでもう少し深く理解する。
たとえ | 大工さん(必要な時に呼ぶ専門家) | 家政婦さん(毎日常駐して家事をする人) |
いつ動く | あなたが呼んだときだけ | 24時間、バックグラウンドで常駐 |
動き方 | あなたの指示を待つ(受動的) | 自分から動く(能動的。Heartbeat・cron) |
操作場所 | ターミナル(PCの黒い画面) | Telegram・Discord・Slack等のチャットアプリ |
得意なこと | 複雑なものを作る、コードを書く、ファイルをまとめて編集する | 毎日のルーティン、定期チェック、通知、情報配信 |
AIモデル | Claude固定(Anthropic社のAI) | 選べる(Claude、GPT、Gemini等) |
料金 | Anthropicの月額プランまたはAPI従量課金 | 無料(自分でAPIキーを用意する) |
一番大きな違いは「受動的か、能動的か」。
Claude Codeはあなたがターミナルを開いて指示しない限り何もしない。OpenClawはあなたが寝ている間もHeartbeatで見回りをし、cronで日報を作り、Telegramに通知を送ってくれる。
逆に言えば、「新しいスキルを設計して、テストして、完成させる」という創造的な作業はClaude Codeの方が圧倒的に得意。ターミナル上でファイルを自在に作成・編集でき、試行錯誤がしやすい。
開発から運用への引き渡しフロー
2つのツールを連携させる流れは、5つのステップで構成される。
ステップ1: Claude Codeでスキルを作る
ターミナルでClaude Codeを起動し、「〇〇をするスキルを作って」と依頼する。Claude Codeがスキルフォルダの作成とSKILL.mdの作成を一気にやってくれる。
例: 「日本語の文章を校正するスキルを作って。~/.openclaw/skills/ に置いて」
Claude Codeは指示に従い、フォルダ作成・SKILL.md作成・フロントマター設定まで全自動で行う。
ステップ2: OpenClawにスキルを認識させる
新しいスキルフォルダを作った場合、OpenClawは自動では検知しないことがある。秘書に「スキルを更新して」(英語なら "refresh skills")と伝えるか、新しいセッションを開始する。
既存スキルの編集の場合: SKILL.mdの中身を書き換えただけなら、自動で検知される(次に秘書に話しかけたときから反映)。新しいフォルダの場合だけ手動で認識させる必要がある。
ステップ3: Telegramでスキルをテストする
Telegramから秘書に話しかけて、スキルが正しく動くかテストする。第35回で学んだテストの4パターン(基本・バリエーション・短い入力・長い入力)を使う。
ステップ4: 自動実行のスケジュールを設定する
スキルが正しく動くことを確認したら、自動で実行されるように設定する。ここで第30回〜第31回、第36回で学んだ使い分けが活きる:
「毎朝8時に校正してほしい」: cronを使う(時刻指定)
「新しいファイルが追加されたら校正してほしい」: Heartbeatを使う(監視型)
例えば、毎晩21時に「今日書いた下書きを校正する」スキルを自動実行するなら:
openclaw cron add \\\\
--name "下書き校正" \\\\
--cron "0 21 * * *" \\\\
--tz "Asia/Tokyo" \\\\
--session isolated \\\\
--message "今日の下書きファイル(workspace/drafts/今日の日付.md)があれば、校正スキルを使って校正し、結果をTelegramに送ってください" \\\\
--announce \\\\
--channel telegram
ステップ5: 改善サイクルを回す
運用を始めると「ここはもう少しこうしてほしい」という改善点が見つかる。そのときはまたClaude Codeでスキルを修正する。
Claude Codeで作る → OpenClawで動かす → 改善点を見つける → Claude Codeで修正する → OpenClawで再運用
このサイクルを回すたびに、秘書の能力が向上していく。
ハンズオン: 日記スキルを作ってOpenClawで自動化する
実際にやってみる。Claude Codeで日記スキルを作り、OpenClawで毎晩自動実行させる。
Claude Codeでの作業(ターミナル):
Claude Codeを起動して、以下のように依頼する:
「~/.openclaw/skills/daily-journal/ に日記スキルを作ってください。その日にあったことを伝えると、日付・天気・出来事・感想・明日の目標の5項目で構造化してくれるスキルです。descriptionは英語で書いてください。」
Claude Codeがフォルダ作成からSKILL.md完成まで全自動で行う。完成したら中身を確認する。
OpenClawでの作業(Telegram):
秘書に「スキルを更新して」と伝える
「今日は朝から会議があって、午後はプレゼン資料を作った。夜はジムに行った」と送って、日記スキルが発動するかテストする
期待通りの構造化日記が返ってきたら成功
自動化の設定:
毎晩22時に、その日の日次ノート(memory/YYYY-MM-DD.md)を元に日記を自動生成する:
openclaw cron add \\\\
--name "自動日記" \\\\
--cron "0 22 * * *" \\\\
--tz "Asia/Tokyo" \\\\
--session isolated \\\\
--message "今日の日次ノート(memory/今日の日付.md)を読んで、日記スキルを使って構造化日記を作成してください。結果をTelegramに送り、workspace/journal/今日の日付.mdにも保存してください" \\\\
--announce \\\\
--channel telegram
使い分けの判断フローチャート
「これをやりたい」と思ったとき、どちらのツールを使うべきかの判断基準:
Claude Codeを使う場面:
新しいスキルを作りたい、または既存のスキルを大幅に修正したい
複雑なスクリプトやプログラムを書きたい
複数のファイルをまとめて編集したい
設定ファイル(openclaw.json等)を大きく変更したい
試行錯誤しながら完成形を探りたい
OpenClawを使う場面:
毎日・毎週の定期タスクを自動で実行したい
スマホから手軽に秘書に指示を出したい
PCを閉じていても秘書に動いていてほしい
通知を受け取りたい(Telegram、Discord等)
チームのメンバーとチャットで秘書を共有したい
迷ったときの目安: 「作る」ならClaude Code、「動かす」ならOpenClaw。
よくある質問
Q: Claude Codeだけで全部できないの?
A: Claude Codeは指示しない限り動かない。「毎朝7時にブリーフィングを送る」「30分ごとにカレンダーをチェックする」といった自律動作はClaude Codeにはできない。逆に、OpenClawだけでは複雑なスクリプトの作成や大規模なファイル編集は難しい。両方の得意分野を活かすのが最も効率的。
Q: 両方にお金がかかるの?
A: Claude CodeはAnthropicの月額プラン(またはAPI従量課金)が必要。OpenClaw自体は無料だが、中で動くAIモデルのAPI料金がかかる(OpenClawの中でもClaudeを使う場合は、そのAPI料金が発生する)。ただし、OpenClawはHaiku等の安価なモデルも選べるので、用途に応じてコストを抑えられる。
Q: Claude Codeで作ったスキルが、OpenClawで動かないことはある?
A: ある。よくある原因は3つ:
SKILL.mdのYAML構文エラー(第34回で学んだコロン+スペース問題)
スキルフォルダが正しい場所に置かれていない
OpenClawがスキルを認識していない(「スキルを更新して」で解決)
ゴール状態
Claude Code(受動的・開発向き)とOpenClaw(能動的・運用向き)の違いを説明できる
開発→運用の5ステップフローを実践できる
日記スキルをClaude Codeで作り、OpenClawで自動運用している
「作るならClaude Code、動かすならOpenClaw」の判断基準が身についている