第4回: コストと安全性 — 始める前に知っておくこと
この回で学ぶこと
OpenClawを動かすのにいくらかかるか
どのLLMバックエンドを選ぶべきか
セキュリティリスクと対策の基本
前回のおさらい
OpenClawは5つのパーツで構成されている。Gateway(受付)、SOUL.md(社訓)、メモリ(ノート)、Heartbeat(定時業務)、チャネル(電話回線)。今回はコストと安全性という現実的な話をする。
LLMバックエンドの2つの選択肢
OpenClawはAIの「頭脳」を外部から借りて動く。その借り方に2つの方式がある。
API従量課金 | Anthropic/OpenAIでAPIキーを取得して設定 | 使った分だけ(月¥3,000〜15,000目安) | 使用量が少ない人・細かくコントロールしたい人 |
Claude Codeサブスク経由 | Claude Code(MAX等)をバックエンドとして接続 | 月額固定($20〜$100) | 定額で安心して24h稼働させたい人 |
API従量課金は電話料金と同じ。使えば使うほどかかるが、使わなければかからない。サブスクは月額固定で、どれだけ使っても追加料金なし。どちらを選ぶかはこの後の回で決める。
コスト計算
API従量課金のコストを決める要素は2つ: 使用するAIモデルとHeartbeatの実行間隔。
高コスト | Claude Sonnet | 30分 | ¥10,000〜15,000 |
中コスト | Claude Sonnet | 1時間 | ¥5,000〜8,000 |
低コスト | Claude Haiku | 3時間 | ¥3,000以下 |
Heartbeatの間隔を倍にすると、コストはおおむね半分になる。軽量モデル(Haiku)を使えばさらに安くなる。
サブスクのMAXプラン($100/月 ≒ ¥15,000)なら、どれだけ使っても固定。この講座ではどちらの方式でも進められる。
セキュリティリスク
OpenClawはPCの上で動くプログラムである。つまり以下のことが可能:
PCのファイルを読み書きできる
コマンドを実行できる
ネットワークにアクセスできる
野放しにすると、秘書が写真フォルダを読んだり、メールの中身を見たり、勝手にファイルを削除したりできてしまう。
実際に起きた問題: ClawdHub(スキルのマーケットプレイス)に800以上のマルウェアスキルが混入していたことがある。見た目は普通のスキルだが、中身にはPCの情報を外部に送信する悪意のあるコードが入っていた。
対策はある。必要以上に怖がる必要はないが、リスクを知っておくことが重要。
安全に使うための3つのルール
ルール1: Docker内で動かす
Dockerは「安全な箱」。OpenClawをこの箱の中で動かせば、箱の外(PC本体)には手が届かない。新入り社員にオフィスの全部屋の鍵を渡すのではなく、専用の部屋だけで仕事させるイメージ。→ 次回(第5回)からDockerの使い方を学ぶ。
ルール2: ClawdHubのスキルは中身を確認してから入れる
App Storeで怪しいアプリを入れないのと同じ。作者の評価を確認する、レビューを読む、ソースコードをチェックする。→ 第33回で安全なインストール方法を扱う。
ルール3: SOUL.mdに禁止事項を書く
秘書のルールブック(SOUL.md)に「やってはいけないこと」を明記する。例: 「ユーザーの許可なくファイルを削除しない」「外部サービスに自動で投稿しない」。→ 第14回で制約条件の書き方を扱う。
この3つが安全の柱: Docker(隔離)、スキル確認(検証)、SOUL.md制約(ルール)
次回の予告
OpenClawはPCのファイルを読み書きでき、コマンドも実行できる。野放しにすると危ない。だから次回、まず「檻」を作る。その檻がDocker。次回と次々回の2回でDockerの基本を学ぶ。
ゴール状態
自分の予算に合ったバックエンド方式を選べる状態
セキュリティリスクを認識し「対策が必要」と理解している
「Dockerが必要な理由」に納得している